出雲なんきんの産卵について

出雲なんきん保存会   
大社金魚会 山根芳館


1.採卵

♂♀が成熟していても、タイミングが悪いとうまく産卵につながりませ ん。
種親魚の状態は、♀(メス)は十分に抱卵していても♂(オス)の追星がはっきり現れていなければ、
タイミングが良くてもうまく産卵につながりません。

親魚の未成熟の多くは給餌に問題があり、内蔵特に精巣卵巣に脂肪がつくと成熟しづらく、産卵前に急激な給餌をしない事です。

前年の秋に十分飼育をして冬期(低温期)の一定期間<約三ヶ月位(12月、1月、2月)>越冬させ、
3月の彼岸前頃に起こして4月中旬〜下旬頃に産卵する 様に運ぶ事が大切です。
最近はヒーター等で温度調整をして産卵を早くする人達もおられる様ですが、私は自然に反しない方法で行っております。
尚、地域により産卵時期は異なります が、目安として参考にして頂ければ幸甚でございます。


♂♀は越冬中は混泳可、春になり苔を食べる様になり活性が上がってきた頃には♂、♀分けて飼育する事が大切です。
なぜならば産卵日に合わせて♂♀を一緒に すると、♂が追尾行動をとりやすくなる為です。

親魚の準備が整ったら、いつ♂(オス)、♀(メス)を一緒にするかが問題です。
産卵は曇や雨天の日が圧倒的に多く、週間天気予報を見て検討され、仕事等都合も勘案の上、調整なさればいいと思います。

又、雨が降らなくても気圧が下がれば産卵を促進しますから、
近年の温暖化現象の為、昨年、一昨年は参考にせず十分注意して失敗の無い様に管理して下さい。

産卵時の♂♀の割合は
オス2匹にメス1匹
オス3匹にメス2匹
が一番産卵孵化の確率が高い様です。

週間天気予報と♂♀合わせタイミング(参考例)
曜日







天気







気温







♂♀合わせる
タイミング




早朝に産卵






早朝に産卵




2.産卵からふ化

私の場合はふ化池でヒーターを21℃に設定、エアで水を廻して全体に同温度になる様にすると、産卵日から4〜5日目の朝には一斉にふ化します。

稚魚は2〜3日はお腹にある臍嚢(サイノウ)から栄養をとりますが、その後は餌を求めて泳ぎ出します。
ブラインシュリンプを準備しておいて、午前中に与えて下さい。生き餌ですから水質の悪化はゆるやかです。
尚、ふ化池のエアレーションは弱めにして水面の方から送って下さい。

3ツ尾4ツ尾がわかる様になる頃まで、約1ヶ月位、
その時点までブラインシュリンプか、ミジンコをフルヰでコシ小さいミジンコを与えて下さい。

餌不足は絶対にしてはいけません。
第一選別までで造形がほぼ決定してしまう飼育上、一番大切な時期です。
尾の開きは餌が豊富であれば開き、不足であればすぼみぎみになります。


3.水替えと選別

第一回の水替えは産卵後10〜14日(2週間位)が適当です。その時、第1回目の選別を行って下さい。
その時点では小さくて背成り、腹部とかわかりません。
尾の張りのみを見て、鮒尾、不具合のものを選別淘汰して下さい。

尾の開きの程度

尾の開き程度は、100度〜130度〜170度の範囲内で残して行けばいいと思います。



第2回、第3回と1週間毎に水替え、選別淘汰して下さい。

1ヶ月あまりで鱗が出来てきます。青仔で泳ぎも活発になります。
その時点から配合飼料(私はヒカリ胚芽沈下性)に切替えても良いと思います。

尚、その場合は直径20cm位の小皿(少し深みのある方が餌が飛び出さなくていいと思います)を、
飼育池の広さにもよりますが、小皿を2、3ヶ所置いて、30分位で食べ切る量を入れて下さい。
その後、水の状態、稚魚の状態を見て少量与えて下さい。
配合飼料ですので水の管理は十分に注意して下さい。

頭タタキと称して顔が出来てきます。
20〜30尾の青仔が一斉に我先にと頭をそろえて餌に群がる様は壮観です。

皆それぞれ飼育条件が異なります故、飼育池、水温、水の状態等、十分に注意の上、頑張って下さい。

以上、飼育関係上は絶対はございません。参考にして頂ければ幸甚に存じます。(2009.3)







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